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未開封品でございますが、ジャケット表右中央側面に一部包装ビニールの破れがございます。
Mobile Fidelity社は現在主流で情報量重視で知られる「フラットマスタリング方式」の先駆者でございます。
情報量重視ではございますがアナログ感が有り、非常に良心的な音質となっております。
アナログにせよ、CDにせよ、ハイレゾにせよ、SACDにせよ、マスターテープの再現が重要なテーマとなりますが、オーディオファンから「マスターテープを一番再現していたのはアナログ盤ではなかろうか?」との指摘が挙がり、
嘗ての名マスタリング・エンジニア故George Marino等が手掛けたリリース当時のアナログ盤が高値で取引されるここ昨今でございます。
またかの”Abbey Road Mastering”Peter Mewが手掛けた現行の今作リマスターは音の輪郭が角張りまた低音を強調したリミックス感が賛否を呼ぶというもの。
何をか言わんや、でございます..................................
内容は言わずもがな。
ラインナップは名手揃い。
御存知!Jeff Beck(G)、御存知!Rod Stewart(Vo、後にThe Faces)、これまた御存知!Ron Wood(B、後にThe Faces、The Rolling Stones)、Mick Waller(Ds、Per)となります。
またゲストが豪華。
御馴染みJimmy Page(12 Strings G、当時The Yardbirds後にかのLed Zeppelin、The Firm)、名手John Paul Jones(Key、後にLed Zeppelin)、名手Nicky Hopkins(P、後にThe Who、The Rolling Stonesサポート)、
そして故Keith Moon(Ds、The Who)となります。またバグパイプ奏者が一曲参加致しております。
The Yardbirdsという音楽性の枠内に収まりきらなくなったJeff Beckが、通受けバンド在籍やソロ・シングルのみリリースであったものの当時シーンで注目を集めていたRod Stewartと合流。
ポピュラー路線を強いたがるThe Yardbirdsのマネージャーミッキー・モストを何とか説得。
Blues/Rock路線の音楽性を指向し、バンド結成に乗り出します。
(後の第二期同様)擦った揉んだと困難の末に、The Yardbirdsに臨時参加も行っていたRon Woodを”ベーシスト”として起用。
また名手Aynsley Dunbarのシングル制作試験録音起用等々を経て、(若干不満ながらも)名手Mick Wallerを獲得。
ツアーの合間にアイデアを練り、嘗ての盟友Jimmy Pageや録音に関わったJohn Paul Jones等をゲストに迎え、本格的にアルバム制作に乗り出す....................という経緯がございます。
ツアーの合間の短期間録音という事もあり、予算の都合上も理由にあった模様でございますが、ライヴ感を重視した感がございます。
(ステレオとモノラルが混在していた録音当時でございますが、そもそも非常に録音が良いもの。Audio Fiderity社が今SACD盤を制作した事からも伺えるものでございます)
Blues/Rock路線を指向するもののJeff Beckに作曲の意思はなく、またRod Stewartの作曲もJeff Beckの狙うものと異なるもので多くが却下。
カバー曲の再アレンジやJimmy Page等の提供曲等に頼るという異色な感がございます。
アレンジ主導とは言えど音楽性は見事なもの。時代がロック創成期時代後期で細分化が始まった時代の録音でございます。
Blues/Rockとは言えど、初期Fleetwood Macや初期The Aynsley Dunbar Retaliationの様なブルースの良質な模倣的なものではなく、
当時の次世代ロックを見据えた感のあるものでございます。
Jeff Beck特有の音楽性がばらけた感もあり、非常に興味深いものとなっております。
ここからJimmy Pageは末期Yardbirdsの混乱を経てLed Zeppelin構想を、またシングル曲のみ参加で終わったAynsley Dunbarは自身のバンド構想を指向する事となります...................
Jeff Beck自体が”対”となる個性をThe Yardbirds時代末期から求めていた事もあり、非常に生き生きしたもの。
非常に尖った感のある演奏で、打てば響く、というヴォーカリストの感覚に満足している感がございます。
Rod Stewartもここで表舞台に立つという感があり、野心溢れる感のあるヴォーカルを聴かせます。
豪快且つ繊細なヴォーカルで非常に伸びやかなもの。
非常に表現力豊かで当時無名のかの名ヴォーカリストPaul Rodgers(後にFree、Bad Company、The Firm)が畏敬と憧れを持った事が理解出来るもの。
キャリア随一の感がございます。
(後のThe Faces/初期ソロまで全盛期が続きますが、居酒屋バンドThe Facesでは肩の力を抜いた感のあるもの。Jeff Beck Group時代が一番強烈の感がございます)
Ron Woodでございますが、ここでは見事なベースを聴かせてくれます。そもそも自身がギタリストである事から、ギタリストの観点を上手く生かした演奏の感がございます。
(ジャズ/フュージョン界にAboraham Laborielという名ベーシストがおられますが、この方もそもそもギタリスト。かの名手Larry CarltonやLee Ritnearが重宝した名手でございますが、スタイルが違えど似た感覚がございます)
後々にHR/HM系等のギタリストが様々な理由で録音時にベースを演奏する事が多々ございます。
またGenesis初期のMike Rutherfordの様にそもそもギタリストがベースを弾き、癖のあるフレーズが興味深いものでございますが、ベーシストとしては違和感のあるものが多いものでございます。
後々に作曲面でも才能を発揮するRon Woodでございますが、驚く程の非常に巧みなフレーズで唸らせてくれます。
後の名手系ベーシストからの評価の高い事が頷けるものでございます。
Mick WallerはJeff Beck観点としては若干ガツンとくる演奏ではない模様でございますが、これだけの個性派揃いのバンドであって非常に巧みな演奏を聴かせてくれます。
個性としては確かに弱い感がございますが、その存在が各自の個性を繋げている感もございます.....................................................................
リリース時にはかの”Cream”が既に登場。
演奏や音楽性のエゴを全面に打ち出した感のあるバンドが注目を浴びる中で”満を持しての登場”なのでしょうが、時期的にズレを生じた感があり、
もっと早くリリースしていれば..............................の感がございます。
制作時に関わったJimmy Pageはこの音楽性を含めたバンドアイデアに共鳴。
The Yardbirds解散後、Jimmy Page/John Paul Jones/Keith Moon/John Entwistle/Terry Reidという幻のラインアップ構想を経て、Led Zeppelin結成へ移行する訳でございます。
それを見たJeff Beckはアイデアの盗用と激怒。
第一期Jeff Beck Groupを次作で解散させ、注目していたVanilla Fudgeのリズム隊を引き込んで幻の対Led ZeppelinバンドJeff Beck/Rod Stewart/Tim Bogart/Carmine Appice結成へと繋がる事となります........................
現在では入手が困難。この機会に是非。